生の大切さを伝えるとき、私は、よく自分の子どもにこんな話をしました。
「パパはね、○○ちゃんよりも先に死ぬよ」
当然、子どもは「えっ?」と驚きます。
「でも、そうだよね。
人間には寿命があるんだから」
そう言うと、少しわかったような表情になります。
「だから、パパが元気なうちに○○ちゃんが、一人でちゃんと生きていけるような力を身につけてほしいんだ。
そのために、今こうやって勉強してるんだよね」
こう言うのです。すると、
「パパ、いなくなるの?」
子どもは不思議そうな顔でそう言います。
「すぐにはいなくならないよ。
でも、いつか必ず○○ちゃんとさよならしなくっちゃならないときがくる。
でも、心配しなくてもいいよ。
パパは今度生まれ変わっても、もう1度お母さんと結婚して、もう一度○○ちゃんと出会うからね」
そういうと、子どもはすごく喜びます。
ニコニコして抱きついてきます。
「死」という「生」の対極にある言葉を出して、いかにあなたを大切に思っているか、いかに今を楽しく過ごすことが大切かということを伝えるのです。
ただ「愛してるよ」「仲良くやっていこうね」と言うよりも、何倍も深い伝わり方がするはずです。
また、ある人からはこんな話を聞きました。
その人の家では最初の女の子が生まれて、それから4年後にまた女の子が生まれました。
妹が生まれてから上の子は、「何で妹ばかりかまうの?」と荒れに荒れたそうです。
自分に愛情が向けられていないと感じたのでしょう。
しかし、その人はこう言ってお姉ちゃんをなだめました。
「ねぇ、○○ちゃん。
お母さんはいずれ死ぬけど、あなたのほうが4年間も長く一緒にいられるでしょ。
でも、妹のほうは4年分少ないよね。
だから、その分を今埋め合わせさせてね」
素晴らしい伝え方です。
上の子への愛を伝えながら、下の子への愛も伝える。
そのために、死という時間軸を使って説明したのです。
死を意識するということは、間違いなく生を意識するということです。
つまり、生きていることの意味とは「死」という状態ではないもの、すなわち生きているだけでありがたい、生きているそれだけで尊いというものなのです。
そう考えると、あなたの人生はあなたが生きていることだけで素晴らしいものなだということがわかるのです。
ですから、どんな状況であっても、自分を好きにならない人生はもったいない。
精いっぱい生きること、それだけでいいような気がします。
出典元:(学校では教わらない授業)