これはまだ僕が14歳の事の話です。
自分が14歳のころ両親が離婚し、母が僕を育てるという話になりました。
父がいなくとも母(34歳)と僕とおばあちゃん(65歳)との3人で毎日、楽しく暮らしていました。
ある日、いつもなら母が帰ってくる時間なのに母は帰ってきませんでした。
次の日、おばあちゃんに「なんで、昨日おかあさん帰って来なかったの?」と聞いたら、体の調子が悪く近所の△△病院に入院したと聞きました。
その日、学校が終わり母の見舞いに行こうと△△病院に1人で行き、受付の方に「母は何号室に入院していますか?」と聞いたところ、「申し訳ありませんが、そのような方は入院しておりません。」と言われました。
僕は、そんなことないと思い、全部の部屋を見て回りましたが、母はどこにも入院していませんでした。
あとから聞いた話では新しくできた男と駆け落ちをしたらしいです。
家に帰り、おばあちゃんが「おかえり」と迎えに来てくれました。僕はどうしてお母さんがいなかったのか聞きたかったのですが、自分でも大体予想できていたので聞きませんでした。
野球の大会で、友達のお母さんやお父さんが応援に来るなか、僕には両親がいなかったのでおばあちゃんが応援にきました。そのときは、どうして俺にはおばあちゃんが応援なんだよっとムカつく気持ちと悲しい気持ちがありました。
家に帰り、僕はおばあちゃんに「どうして応援に来たんだよ!恥ずかしいだろ!」と言いました。八つ当たりをしてしまいました。
おばあちゃんは笑って一言「ごめんね」と言いました。
僕は、すぐに部屋に戻り八つ当たりする自分がなんか悔しくて泣きました。
それから僕はおばあちゃんとはあまり話をせず15歳で家出をしました。もちろん高校は行っていません。
家出をした僕は、群馬から東京に行き年齢を偽り住み込みで働きました。
それから5年間一度も家には戻らず、もちろんおばあちゃんとは会っていません。
自分が20歳のとき、ふとあの時のことを思い出し群馬の家に戻りました。
5年ぶりの家は外観が古くなっていました。表札にはおばあちゃんの名前と僕の名前がありました。玄関があいていましたが誰もいませんでした。僕は勝手に上がりこみ何か飲もうと台所に行ったらテーブルの上に僕の写真と1枚の手紙がありました。僕の写真はしわくちゃになって顔がぼやけていたのはおばあちゃんの涙で滲んでいたんだと思います。
僕は手紙をあけて見るとそこには「おかえりなさい。おばあちゃんは、いつまでもどこまでもタカヒロのおばあちゃんだよ」と書かれていました。僕はそれを見た瞬間、涙がこみ上げてきました。
1時間くらい泣いているとおばあちゃんが帰ってきて僕を見て「おかえり。今日は何が食べたい?」言ってきました。
70歳になったおばあちゃんはとてもふけていました。
僕はおばあちゃんを抱きしめ「ごめんなさい」と言いまた泣きました。