学校日記

☆ 鳶職の父 ☆

公開日
2014/10/26
更新日
2014/10/26

感動するいい話

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 公用でM高校へ出かけたある日のことだった。校長先生が、私達を呼び止められて、「時間がありましたら、お見せしたいものがありますので、校長室までお越しください」と言われ、校長室に案内された。
「実はある生徒の作文ですが・・」
とA少年の経歴を話しながら、作文を朗読された。
「僕の父親の職業は鳶職である・・・」という書き出しから始まり、内容はおよそ次の様なことが書かれている。
「父親の休日は定まっていなかった。雨の日以外は日曜日も祭日もなく、お定まりの作業服に汚れた古いオンボロ車を運転して仕事に出かける。仕事が終わると頭から足の先まで、泥や埃で真っ黒くなって帰り、庭先で衣服を脱ぎ捨てて、褌ひとつになって風呂に飛び込むのが日課である。僕の友達がいても平気で、そんな父の姿が恥ずかしく、嫌いだった。小学校の頃、近所の友達は日曜日になると決まって両親に連れられて買い物や、食事に出かけて行き、僕は羨ましく思いながら見送ったものだ。(みんな立派な父さんがいていいなぁ)と涙が流れたこともあった。
 たまの休みは、朝から焼酎を飲みながらテレビの前に座っていた。母は『掃除の邪魔だからどいてよ』と掃除機で追っ払う。『そんな邪魔にすんなよ』父は逆らうでもなく焼酎瓶片手にウロウロしている。
『濡れ落ち葉という言葉は、あんたにピッタリね・・この粗大ゴミ!』
『なるほど俺にそっくりかハハハ・・うまいことをいうなハハハ・・』と、父は受け流して怒ろうともせずゲラゲラ笑っている。