第1学期終業式 校長式辞 「受援力」という言葉から
- 公開日
- 2018/07/20
- 更新日
- 2018/07/20
校長室
まずは、皆さんともに、「西日本豪雨」によって、亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災されている皆様にお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧、復興を願いたいと思います。
さて、この度の西日本の広範囲にわたる集中豪雨、二百名を超す犠牲者となる大災害となりました。家を失い、家族を失った方々の悲しみ、絶望、不安、想像するに余りあります。まさか、こんなことになるとは・・・誰もが思ったに違いありません。しかし、現実です。自然は容赦をしません、厳しいの一言です。私たちは、7年と数か月前、東日本大震災と原発事故を経験しました。
今回の大災害の中で、気になる言葉がありましたので、紹介し、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。それは、「受援力(じゅえんりょく)」と言葉です。「受」はうける、「援」は「しえんのえん」です。つまり、直訳すれば、「支援を受ける力」という意味になります。
この言葉は、被災地の1つ、岡山県総社市の片岡市長が、7月14日に発言したコメントの中にありました。
それは、「初めて助けられる側になったが、受援力を高めるためにはよその被災地にいの一番に駆け付けて汗をかいていく。受援力がある市でないと住民を救うことはできない。」というコメントです。総社市はこれまで6つの被災地に、のべ100人余りの職員を派遣してきたそうです。
つまり、市や町などの自治体同士が、普段より、「助け、助けられる」という関係をつくり、高めておくことが、このような大災害を乗り切るためには必要であり、そのキーワードが「受援力」ということになります。
さらにこの「受援力」という言葉を調べていくと、派遣切り、ホームレス、孤独死、子育てなど、現代社会が抱えている諸問題と関係していることが分かってきました。つまり、「人に迷惑をかけてはいけない」「人に頼ることは弱いからだ」などの社会からの刷り込みにより、『助けて』と言えない人たちが様々な問題に苦悩し、時として命を失ってしまっている現実があるということもわかりました。
被災者を含め、人を頼ることはよいことであり、決して悪ではない。普段より、「助け、助けられる」という人間関係を保つことは当たり前のことである。そんな、意識がとても大切であるということが改めてわかりました。
「絆」という言葉が一時期流行りましたが、今回の「受援力」という言葉もそれに繋がるのでないかと思いました。
皆さんの学級、学年、伊達中学校全体が、「受援力」の高い、互いに助け、助けられる絆で結ばれていることを願い、そして、そのような集団であってほしいと思います。
さて、本日、1学期が終了し、いよいよ、明日から37日間という長い夏休みが始まります。それぞれの学年にとって大切な夏休みになります。
まず、1年生。中学校生活は慣れましたか。友達はたくさんできたでしょうか。
この1学期、何事に対しても「自分から」という気持ちを持って取り組めたでしょうか。夏休みも同じです。「自分で決めた計画を自分で実行すること」はとても大切なことです。部活動にも積極的に参加し、2学期に備えてほしいと思います。
2年生。いよいよ伊達中学校の中心となって活躍しなければならない時期となってきました。「中だるみ」はしていませんか。目標を見失っている人はいませんか。「油断は大敵」です。いい意味での緊張感を持ち、中堅学年として、部活では新人戦、学校生活では生徒会、そして学習に取り組んでほしいと思います。「文武両道」を目指し、挑戦してほしいと思います。
マラソンに例えれば、2年生は、間もなく中学校生活の折り返し地点を迎えます。中学校生活の後半をどのように過ごすか、2年生でのがんばりが、次年度、充実の3学年につながります。
3年生。いわゆる受験勉強に全力で取り組む時期となりました。遅かれ、早かれ、避けては通れない道です。早く、覚悟を決め、取り組んだ人が自分の目標を達成できるのです。
やはり、中学校3年間を、42.195kmのマラソンに例えれば、皆さんは間もなく35km地点を迎えます。マラソンでは一番苦しい、勝負どころと言われています。それぞれのゴール、目標を目指して、迷わず、がんばってほしいと思います。
また、高校入試も含めた進路の問題、将来の夢を自分の問題として真剣に受け止め、それぞれの目標や夢に向かってがんばってほしいと思います。
今月の一字は「為(す)」です。「為せば成る、為さねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり。」江戸時代、米沢藩の窮地を救った名君、上杉鷹山の言葉を皆さんに贈ります。「やればできる」強い気持ちで、夏休みを乗り切ってほしいと思います。
長い夏休み、先生方からの諸注意を守り、様々な誘惑に負けず、事故のない、特に、昨日の貴重な講演を思い出し、交通事故に気を付け、有意義な夏休みにしてほしいと思います。「自分の命は自分で守る」「ならぬことはならぬ」です。以上で式辞といたします。