不祥事を自分事として捉える ~当事者意識を高めるには~
- 公開日
- 2025/08/12
- 更新日
- 2025/08/12
教育長の部屋
令和7年度が始まって約4か月、教員の信頼を失墜するような不祥事(児童盗撮)が愛知県で起こりました。この事件は、盗撮した画像をSNS上のグループで共有し逮捕・起訴されたことで大きな問題となり、多くのマスコミに取り上げられました。この事件は、親が子どもを安心して預けることのできる場としての学校を根本から崩壊させることにもなりかねません。全国で朝早くから夜遅くまで誠心誠意教職に励んでいる全ての教員の名誉を保つためにも、事件の早急な真相解明と厳しい処分を望みます。
本県においても教員の不祥事は根絶に至らず、たびたび新聞報道等で報道されています。本市では校長会や学校訪問等の機会を活用して管理職や教職員に対し継続して指導していますが、不祥事防止について語るときに「当事者意識」という言葉を必ずと言っていいほど使います。では、私たちは不祥事に対してどのような当事者意識を持つべきなのでしょうか。また、そのような当事者意識を持つには、何をすればいいのでしょうか。ある学校の仮想研修を通して改めて考えてみたいと思います。
(○○学校、服務倫理委員会)
A先生···職場でこれだけの不祥事防止の研修を行っているのに、それでも不祥事を起こす人は「当事者意識」が足りないな!
B先生···でも、正直言うと私も「不祥事を起こす人はごく一部の人だから、自分には関係ない」と思っていたかもしれない。
C先生···以前は自分も同じように思っていたけど、「魔が差したのかな?」という事件もあって、考えさせられたんだ。
D先生···確かに、最初から悪いことをしようと思う人はいないはずだよね。何とかその過ちを止められないものかな。
教頭先生···D先生の言うことも、大切な「当事者意識」だね!
(解説)
せっかく学んだ知識もそれを活用する意識がなければ意味がありません。「当事者意識」とは、文字通り「不祥事を自分事として捉えること」です。当事者意識がなければ、いくら服務倫理委員会等の不祥事防止研修で学んだとしても必要な場面で生かすことはできないのです。
「誰にでも不祥事を起こしてしまう可能性があること」この認識を前提に、まずは自分が不祥事を起こさないためにはどうすべきかを、真剣に考える必要があります。
さらに、「自分の職場で不祥事を起こさないためにはどうすべきか考えること」も、当事者意識についての共通理解を深めるには大切なことです。これは「同僚性」という言葉に置き換えることもできます。
いかがでしょうか。多くの先生方は十分承知している内容だと思いますが、時々初心に帰って「当事者意識」について確認するのもよいかもしれません。
また、不祥事を防ぐためには、校長先生や教頭先生の役割も重要です。校長会等でたびたびお話ししていることですが、不祥事を職場のリスクマネジメントの問題として捉え、不祥事を起こさせない「風通しの良い職場」や「やりがいのある職場」という環境作りを再度お願いしたいと思います。教職という仕事に対する使命感や誇りを持つ私たちにとって、同じ教職員の不祥事のニュースを見るたび怒りや悲しみを覚えますが、そのニュースの不祥事を自分事として考えるきっかけにもなるはずです。
さて、まもなく長い夏休みが終わり、もうすぐ学校には元気な子どもたちの姿や声が戻ってきます。保護者の皆様をはじめ市民の皆様の学校に対する信頼に応えられるように、伊達市の学校に勤務する素晴らしい教職員と意欲あふれる元気な子どもたちとが一緒になって充実した教育活動を推進してまいりますので、市民の皆様のご理解とご支援をお願いいたします。
8月教育長の部屋 教育長 渡部光毅