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令和7年度福島県都市教育長協議会に参加して

公開日
2025/10/21
更新日
2025/11/11

教育長の部屋

 10月に入り、ようやく秋らしい気候になってきました。秋と言えば「実りの秋」とも形容されるように、各学校では児童生徒が主役となる文化祭や学習発表会が開催されます。私たち教育長職にとっても、秋には様々な研修が予定されています。表題にある都市教育長協議会もその中の一つです。本協議会は、毎年10月中旬から下旬にかけて県内各市が持ち回りで開催しています。

 本会の目的は、21世紀の教育を展望したとき、大きな教育改革の推進が喫緊の課題となっていることを受け、現下の教育問題に積極的に対応できるように都市教育委員会の活性化と充実した事業を推進することにあります。本会は福島県だけでなく東北や全国の組織も存在します。各県によって研修内容は多少異なるとは思いますが、本県では事前に協議したいテーマ(課題)を設け、その現状と解決策について13市の教育長が研究協議(情報交換)を行っています。

 今年度は伊達市が当番となり、10月9日(木)10日(金)の2日間で開催しました。

 初日は「つきだて花工房」を会場として、役員会、臨時総会、研究協議等を行いました。つきだて花工房は、里山と暮らすまち「月舘」に息づく生活文化に触れることのできる伊達市自慢の施設で、市民の皆様も多数利用されています。他市の教育長に伺ったところ、今回初めて訪れた方がほとんどでした。豊かな自然の中にあって食事処や会議室、宿泊する部屋などが整っており、施設内外の充実ぶりに感心されていました。

 今年度の研究協議会の議題の一つは、「学校体育館への空調設備整備について」でした。学校の体育館は、主に体育の授業で子どもたちが運動する場所ですが、近年は地球温暖化の影響で猛暑が続くことから熱中症防止対策として空調設備(エアコン)の設置が要望されています。また、梅雨期に限らず夏季に集中豪雨による被害が全国規模で多数発生し、学校体育館が避難所に指定されている自治体も多くなっています。しかし、いざエアコンの設置となれば、体育館の断熱工事も必要となり、国からの補助金を活用しても莫大な費用がかかるため、どの市も頭を悩ませているのが現状です。すでに簡易型の空調設備の設置を決めている市もありましたが、エアコンの代替として、大型扇風機や冷風機の導入を検討している市が本市を含めて多数ありました。情報交換を行っても統一した意見はまとまりませんでしたが、それぞれの市に応じた最善策を模索していくことになりました。

 2日目の研修では、伊達市立保原小学校と伊達市こども家庭センターを視察しました。伊達市における教育の特徴の一つに特別支援教育の充実があります。他市と比較して特別支援学級が多いこと、特別支援教育の免許を有する教員が少なく、学級担任の負担が増していることを考慮し、本市では特別支援介助員を小中学校に40名配置しています。今回訪問した保原小学校にも7名の介助員がおり、学級担任と連携を図りながら円滑に授業を進めていました。学校では、特に支援を必要とする子どもが増加傾向にあることから、教育委員会と学校が連携した本市の取り組みについて多くの称賛をいただきました。

 最後の視察場所となった伊達市こども家庭センターは、令和6年4月にオープンした新たな施設です。ネウボラ推進係、こども家庭相談係、発達支援係の3つの係が施設内に配置され、それぞれが情報を共有しながら実効的に機能することで、こどもがよりよく育つよう子育て家庭を支えることを目的としています。一見、学校教育とは関係がないように思えますが、幼少期における手厚い支援が、その後における知育、徳育、体育に良い影響を与えることは誰もが認めるところです。教育部とこども部から組織される本市教育委員会の強みを生かし、「教育」と「子育て支援」の二つを融合・連動させた取り組みに対しても多くの賛辞をいただきました。

 今年度の都市教育長協議会は、伊達市が当番ということもあり、時間をかけて開催場所や視察場所等の検討を行ってきました。2日間を通し、伊達市の素晴らしい自然や教育委員会の取り組みを一部ではありますが他市に伝えることができたのではないかと思います。また、研究協議の議題についても、以前は学力向上や生徒指導に関するものが多かったようですが、昨年度の「部活動の地域移行」や、今年度の「体育館の空調設備」など、現下の教育問題に積極的に対応できるようにするという、本会の目的にそった協議会に変化しているように感じています。

 最後に、令和7年度福島県都市教育長協議会の開催にあたっては、1日目の会場である、つきだて花工房の皆様、そして2日目の視察をこころよく受け入れてくださった伊達市立保原小学校の先生方、伊達市こども家庭センター職員など、多くの関係者の皆様のご協力によって実現することができました。心から感謝いたします。今回の協議会で学んだことや新たに得た情報等を、今後の校長会等の機会で各校の校長先生に確実に伝達していきたいと思います。

10月教育長の部屋 教育長 渡部光毅