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安心安全な利活用を目指す デジタル・シティズンシップ教育について

公開日
2025/07/07
更新日
2025/07/07

教育長の部屋

 伊達市では、ICTを活用した授業の充実に力を入れており、情報化社会に対応できる児童生徒の育成を目指しています。各学級に大型提示装置を配置するなどの環境整備やICT支援員による訪問支援体制の整備、ICT教育サポーターを配置してのICT教育の推進等に努めています。

 去る6月25日(水)には、第5回伊達市教職員研修講座「ICT教育研修Ⅰ・授業研究」が伊達東小学校を会場に開催され、3つの授業(第2学年「生活科」、第4学年「国語科」、第6学年「体育科」)を公開していただきました。それぞれの授業の中で子どもたちはタブレットを効果的に使用しており、ICTを「使ってみる」という初歩的な段階から「活用の質的向上」という段階へと、確実にレベルアップしていることを実感することができました。現在の子どもたちを取り巻く環境を考えると幼少期からスマホが身近にあり、学校の授業におけるICTの活用はマストアイテムだと思います。しかし、スマホや学校端末(タブレット)の使用による弊害もあり、SNS関連の問題行動が多発するなど、「正しい使い方」を学ばせることも学校の役割の一つとなっています。

 これらの現状から、本市では今までの「情報モラル教育」に加えて「デジタル・シティズンシップ教育(以下DC教育)」の取り組みをスタートさせたいと考えています。DC教育をわかりやすく言うと、これまでの教育が 大人の誘導 > 子どもの活用 であったものを 子どもの自律 > 大人の介入 へと転換していくもので、優れたデジタル市民(シティズン)になるために必要な能力を身に付けさせることを目的としています。現在の子どもたちはデジタルネイティブですが、新しいテクノロジーが生活に及ぼす影響について市民の一員として理解しているとは限りません。また、テクノロジーによって恩恵を受ける人もいれば、いじめ、ネット荒らしなど被害にあう人もいます。子どもたちがインターネットのリスクから身を守るだけでなく、有能な市民としてデジタル技術を積極的に活用する方法を理解させ、必要な能力を習得させる教育を進めていきます。

 DC教育の先駆者でもある国際大学の豊福晋平先生は、ICTの利用のルールとして以下の8つの例を掲げています。


①わたしは、テクノロジーのよき使い手として日々の生活や学びに役立てます。

②わたしは、テクノロジーの特性を理解し、安全に責任をもって互いを尊重する使い方を身に付けます。

③自分の学校公式ID・パスワード・コンピュータは、わたしが責任をもって管理します。

④違法な、または不適切な使用を避けるため、学校公式IDを用いたコンピュータの活動は「いつ」「だれが」「何を」したか、学校ですべて確認できるようになっていることを、わたしは理解しています。

⑤不適切な使い方をしたときは、コンピュータやネットワークの利用が制限され、連絡や学習活動等にも影響が及ぶことを、わたしは理解しています。

⑥わたしは、コンピュータに故障や破損が生じたとき、または、何か心配なことや困ったことが起こったとき、自分では判断できないときは、すぐに保護者や先生に相談します。

⑦わたしは、生活の適切なメディアバランスについて考え、自身の健康を保ちます。

⑧保護者は、子どもの健全な育成のため、家庭においてもコンピュータの扱いやネットワーク活動について適切な監督と関与が求められることを理解しています。心配なことがあったら、すぐに学校へ相談します。


 いかがでしょうか。8つの約束(例)から 子どもの自律 > 大人の介入 へと視点が変わっていることをご理解いただけたと思います。今後、教育委員会としては、各学校にDC教育の目的を浸透させるため、先進校の視察等を行いICT担当の指導主事を中心に調査研究を深め、小中学校における具体的な授業の指導例を順次示していきます。まだ始まったばかりで手探りに近い状況ですが、各学校の校長先生をはじめICTを担当する先生方の協力を得ながら、「伊達市版DC教育」を作成していきますので、市民の皆様のご理解とご支援をお願いいたします。

7月教育長の部屋 教育長 渡部光毅